『GODZILLA 怪獣黙示録』これは"読むファイナルウォーズ"だ！

史上初となるアニメゴジラ。その前日譚として『GODZILLA　怪獣黙示録』が小説として発売された。発売から少し遅れたが読了したところ、なんともやりたい放題の作品で困惑しっぱなし…。

まさに読む『ファイナルウォーズ』

怪獣がわんさか登場し街を破壊する。その様子を市民、兵士などへのインタビュー形式でまとめている。
宇宙人との邂逅…。エクシフとビルサルドがどのような種族なのかが記されているので映画を観る前に得ておきたい情報が多く盛り込まれているが、内容はあってないようなもの。怪獣の出現により世界がどうなったのか、人類はゴジラはどう対峙したのか…。ただそれだけを描いたたんぱくな内容。

怪獣の量、スケール感は2004年公開の『ゴジラファイナルウォーズ』を思わずにはいられない。
人類が地球を去るまでを描いた敗北の歴史を回想していくのだが、そこにはカマキラス、ゴロザウルス、果てにはグリホンまでが登場する。一瞬頭にはてなが浮かんできそうなドがつくほどのマイナー東宝怪獣まで飛び出してくるのは驚くしかない。

怪獣だけではない。潜水艦轟天やスーパーXまでも登場する。世界を怪獣から解放するために人類が一つとなり、とうとうGフォースも作ってしまう。やりすぎである。

ハチャメチャ、やりたい放題。怪獣の強大凶暴さがたっぷりと描かれ、そして人類の強さも果てしなくロマンめいて描かれている。
全世界を舞台に繰り広げられる怪獣戦争。まさに読むファイナルウォーズと言うしかない。

ニヤニヤさせられるがどこかもどかしい
東宝特撮に自信のある方は自然と笑みがこぼれる。そんな小ネタが満載。
文章にすら仕掛けがあり、ページをめくる手は止まらなくなる。

しかし、怪獣達がオリジナルとはどこか違う印象を受ける。ただ凶暴な巨大生物として描かれているだけのように思えてしまうのだ。
そこが残念に感じる。ここまでスケール感を拡大しておきながら、怪獣がどこか残念な扱い。とにかくマイナーな奴を出しておけばいい、という考えが透けて見えてしまいどこか作品に乗れない…。そんなぞんざいさを感じてしまった。

なんだかもどかしい。もっと怪獣をしっかりと扱ってくれれば…と思う。しかし、ゴジラを引き立てるためには仕方がないのかもしれない…。

もどかしさは残るが映画を観る前には目を通す必要がある。読むファイナルウォーズこと『怪獣黙示録』は必見だ。